『医学部受験小論文　ターミナルケアについて』

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【問題文】

「ターミナルケア」がどういうものなのか説明しながら，あなたの考えを800～1,000字程度で述べなさい。

【解答例】

　「ターミナルケア」とは「終末期医療」の意味を持ち，末期の患者が死を迎えるまでのケアを意味する。
終末期医療のケアでは，残された余命を平穏に過ごすことができることを目的とし，本人の意思や尊厳を尊重しながら，
心穏やかな生活や，生活の質（QOL）を保つことを目指した処置が行われる。
　終末期の患者は，ホスピス・病院・介護施設で余生を過ごすこともできるが，自宅で最後まで自分らしく生きることを望むことも多い。
それゆえ，多方面からこの問題について考える必要がある。
　現場では，患者のケアがどのように行われるべきなのかについて考えてみたい。
近年，医療技術が進み，医療の細分化も進んできた。延命治療なども積極的に行われてきた。
生命の尊厳を守るという意味ではよいことかもしれない。
しかし，その一方で，総合的な患者のケアができなくなっているという指摘が多くなってきた。
　患者の痛みをどう和らげるべきなのか。ケアには3つの種類がある。「身体的ケア」「精神的ケア」「社会的ケア」である。
身体的ケアには，投薬，介護などの医療だけの問題ではなく，患者の身の回りの世話まで含まれる。
毎日の健全な生活のために行われる身体的ケア全般を指す。
精神的ケアでは，患者の不安や苦痛などの感情に寄り添い，心穏やかに過ごせるようにサポートすることが目的となる。
死を目前に控えると「死に対する不安や恐怖」「遺された家族への心配」などから、精神的に不安定となることが多い。
また，子供や孫に関する家庭問題が心の負担になったり，自分の体のことで不安になったりする患者も多い。
こういった患者たちのケアを，医師，牧師，家族など様々な人と連携して実行していかなくてはならない。
また，生活習慣の指導や生活環境の調整も精神的ケアにつながる。
社会的ケアでは，終末期医療を受ける上での費用の問題を解決するための情報提供をし，不安をとり除くことを目的とする。
社会的ケアには、遺産相続や遺品整理のサポートも含まれる。
家族のストレスを軽減するための悩みごと相談なども行われることがある。
以上の3つのケアを有効に行いながら，総合的な患者のケアをしていくことが，ターミナルケアについて最も大事なことだと私は考える。