『医学部受験小論文　医療倫理について』

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【問題文】

「医療倫理」について800字以内で，あなたの考えを述べなさい。

【解答例】

医学が急速に発展し変化している現代において，頻繁に議論されるのが「医療倫理」の問題である。医療倫理については，患者やその家族の側からと，医療従事者の側からと，両方の観点から述べられなくてはならない。

　まず，患者とその家族の側の観点から考えてみよう。近年，インフォームドコンセントの必要性が叫ばれており，患者の知る権利，決定する権利が大事とされている。患者が植物人間となり，決定権を行使できない場合は，親権者の決定権を尊重する。ヒポクラテスの誓い「頼まれても死に導くような薬を与えない」にあるように，昔は生命の尊厳を第一としていたが，今では，患者やその家族の意思を第一とし，生命維持装置などによる意味のないとも思える延命なども疑問視されている。ただし，日本では患者やその家族の意思による尊厳死は，まだ合法化されてはいない。

　次に，医療従事者の側の観点から「医療倫理」について考えてみよう。近年，臓器移植，胚移植，遺伝子操作などの新しい医療技術に伴う新しい倫理問題が浮上している。生命の尊厳を至上命題とする時代は終わり，新たな生命倫理の問題が複雑に生じてきている。そこには，医療資源の公正利用，発展途上の新医療技術の適用といった問題もある。例えば，臓器移植の場合，限られたドナーからの臓器提供を公平に分配する必要性が生じるし，発展途上の医療技術の採用に関しては，学問的な実験よりも患者の利益が優先されなくてはならない。

　新しい技術が生み出され，時代が推移する中で，新しい医療倫理について，医療の場全体で考えなくてはならない。そして，その考え方を学ぶ機会も，大学や医療法人の中で提供されるべきである。

（合計694字）

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