「チーム医療」

『白石先生の医学部・医療系学部受験情報・小論文』

白石のメルマガ・第4号

「チーム医療」がどういうものなのか説明しながら，その重要性に関して，あなたの考えを800～1,000字程度で述べなさい。

　チーム医療の定義は何か。厚生労働省は，「チーム医療とは，医療に従事する多種多様な医療従事者が，各々の高い専門性を前提に，目的と情報を共有し，業務を分担しつつも互いに連携・補完し合い，患者さんの状況に的確に対応した医療を提供すること」と定義している。

　チーム医療の必要性はどこにあるのだろうか。過去に起こった医療現場での重大な事故について考えてみたい。2002年に，ある病院で，腹腔鏡下手術を行った執刀医3人が起訴され有罪となった。この時，患者が死に至った理由が，この病院の組織全体の欠陥にあったことが判明した。その他にも大きな医療ミスがいくつかの病院で起こり，組織的な欠陥が指摘された。これらのこともあって，病院の封建的な権力関係，特にパターナリズムとして批判される体制を見直す気風が起こり，チーム医療の必要性が叫ばれ始めたのである。

　2009年，厚生労働省により「チーム医療の推進に関する検討会」が立ち上げられ，日本の実情に即した医師と看護師等との協働・連携の在り方が検討され始めた。そして，長年にわたる話し合いの後に，チーム医療を推進するための法整備が進んでいった。そのおかげもあって，医療現場では，一人の医師の決定よりも，院内の各職種の垣根を超えたチームの意見が重視されるようになり，患者の側に立った最適な治療を効率よく施すシステム構築が進んでいっている。

　チーム医療が推進されている背景には，団塊の世代全員が75歳以上の後期高齢者となる2025年問題もある。医師や看護師等の数を飛躍的に増やすのが難しい中，より効率的，かつ最良の医療を提供するための方策の1つとしてチーム医療が注目されているのである。

　医師を中心として，看護師，保健師，助産師，薬剤師，臨床検査技師，放射線技師，理学療法士，管理栄養士など，さまざまなメディカルスタッフ（専門医療職）が，チーム医療に関わっている。治療前の会議，電子カルテを使った情報共有などを通じて，チーム医療のための基礎システムが構築されていっており，今後は医療ミスも少なくなっていくことが期待されている。

　医療技術がますます進んでいく中で，チーム医療の重要性が今後ますます大きくなっていくと私は考える。

《908字》

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