『小論文　高齢化社会について』

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医学部受験における小論文に頻出のテーマについて発信していきます。今回は高齢化社会についてです。現代社会において，少子高齢化は深刻な問題になっています。高齢化社会のなかで医療が果たすべき役割について，一度考えてみると良いでしょう。

【問：「高齢化社会の現状と医療に求められること」についてあなたの考えを1300字程度で述べなさい。】

【解答例】

　現代社会では、多くの国で少子高齢化が進行しています。これは出生率の低下や医療技術の進歩により寿命が延びたことなどが影響しています。特に，日本の少子高齢化社会は、高齢化率が28.9％となり、65歳以上人口が3,621万人に達しています。将来的には、65歳以上人口が減少する中で高齢化率は上昇を続け、令和47年には38.4％に達すると推計されています。高齢者の割合が増える中、健康な高齢期を迎えるために医療や福祉に対する需要が増大しています。また、労働力の減少や社会保障制度の持続可能性にも影響が及んでいます。現在の医療提供体制は、国民皆保険制度の下で、国民が必要な医療を受けることができるよう整備されていますが、高齢化に伴い、慢性疾患の罹患率が増加し、病気と共存しながら、生活の質の維持・向上を図っていく必要性が高まっていくことが予想されます。

　このような高齢化社会において，医療に求められることは大きく分けて二つあると考えます。

　一つ目は高齢者に対する予防医療の強化です。まずは一次予防として健康な生活習慣の推進、予防接種、健康診断などを定期的に行っていくことが挙げられます。さらに，二次予防としては早期の疾患や健康問題を発見し，その進行を防ぐため，疾患の早期発見，寛解のための医療検査や治療が必要です。また，三次予防としては，既存の疾病による合併症や疾病の悪化を防ぐため，慢性疾患の管理，継続的なリハビリテーションが必要になります。これらの実現には，ICTの活用や医師の定期的な診察や他職種との連携が重要になるでしょう。情報通信技術（ICT）を活用し、高齢者のモニタリングやリモートでの診察，相談の体制を整えることで、高齢者が自宅で安心して生活できる環境を整備し，さらには個人の健康意識を向上させることもできるでしょう。また，定期的な診察と連携によって健康管理をすることで，病気の早期発見だけでなく，緊急時の迅速な対応にもつながると考えられます。

　二つ目は，在宅医療の強化です。高齢者が自宅で適切な医療を受けられるよう，在宅医療や訪問看護サービスの提供を充実させることが求められます。慢性疾患の管理や終末期ケア、リハビリテーション、痛みの管理など、様々な症状や状態に対応できる在宅医療の強化により，患者の生活の質を向上することができるでしょう。そのためには，医師、薬剤師，看護師、理学療法士、作業療法士など、多職種が連携し，それぞれの専門性を生かした協力体制が重要です。これによって，より患者一人一人に効果的かつ総合的な医療を提供できるようになると考えられます。

　さらに，在宅医療では患者や家族に対する教育も重要になるでしょう。治療計画や健康管理において、患者と家族が積極的に参加し、自己決定権を行使できるようにするための情報提供とコミュニケーションが求められます。患者と家族の積極的な参加により，提供できる医療の幅が広がり，更なる健康の増進が期待できるでしょう。

　高齢化社会においては、これらの取り組みを合わせ，効果的に進めることで、持続可能で質の高い医療を提供し，高齢者の生活の質と健康を向上させることができるでしょう。

(1290字)

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